新しいチャレンジを続ける筑後地区のアトツギ経営者にフォーカスする「ネクストリーダーズ」
第13回は約1年半前に取材した、柳川市にある板金工場アトツギのその後です。
「誰もが、身近な自然を楽しめる世界に」そんな想いが商品になりました。

川辺で始まった、今回の取材
八女市上陽町。穏やかに流れる横山川のそばで、筆者は安永翔太さんと岩場に腰掛けていた。
彼は、株式会社ヤスナガの4代目を担うアトツギだ。
ヤスナガは、鉄板を切り、曲げ、溶接する板金加工の会社である。
図面さえあれば、産業用機械部品から多様な金属加工品まで対応できる技術を持ち、長年にわたりBtoBの受注生産を軸に事業を続けてきた。
この日、私たちは余暇を楽しんでいたわけではない。
およそ半年後に控えた新規ブランドのサイト制作に向け、写真撮影のロケハンとして現地を訪れていた。

1年半前の構想が形に。
約1年半前、別の記事の中で彼はこう語っている。「日本各地の海や山、川に拠点をつくり、自然を楽しむライフスタイルを広げていきたい」
その構想が今、一つの形として現れ始めている。
それが 、ヤスナガが手がけるNature steel. というブランドだ。
Nature steel. の最初のプロダクトが、車に取り付けるスライドテーブルである。
アウトドア好きの間で親しまれている「ジムニー」に装着し、車を停めたその場で引き出すだけで、食事や作業ができる小さな空間が立ち上がる。
特別な準備はいらない。
自然の中で過ごす時間を、日常の延長として取り入れるための道具だ。
https://note.com/motomutto/n/nf26478727a34

初めてのBtoC、その背景にある感覚
ヤスナガはこれまで、自社製品を持たない会社だった。
このスライドテーブルは、同社にとって初めてのBtoCプロダクトとなる。ただし、翔太さんが語るこの挑戦は、売上や事業転換だけを目的としたものではない。
新卒でアウトドア大手「モンベル」に入り、自然と向き合った経験を持つ。
ニュージーランドでは車中泊をしながら各地を巡った。
その中で育まれたのが、「自然の中で過ごすことで、人の感覚が整う」という実感だった。
その感覚を、どうすれば日本の暮らしの中に持ち込めるのか。Nature steel. は、そこから生まれた構想だ。

社外との関係性が、構想を前に進めてきた
このプロダクトが形になるまでの過程では、多くの社外の人たちが携わってきた。
アウトドア愛好家、同世代のアトツギ仲間、そして取材者として関わってきた筆者自身も含め、商品化の前後で幾度も壁打ちが重ねられてきた。
「それ、使ってみたいですね」
「こんな使い方もできそうです」
そうした声が、構想を少しずつ現実へと近づけていった。
さらに、福岡県工業技術センター、九州オープンイノベーションセンター(KOIC)など外部機関との連携によって、設計や軽量化といった技術的な部分も磨かれていく。
社外との接点を通じて、会社の中に新しい視点が流れ込んでいった。

今回の続編で描きたいのは、プロダクトの成果そのものではない。
それを生み出す過程で、会社の内側にどんな変化の兆しが生まれ始めているのかという点だ。
Nature steel. は、単なる新規事業ではない。
会社の技術と、個人の感覚、そして社外の視点が交わる中で生まれた、一つの「場」でもある。
1月に出場したピッチコンテスト「アトツギ甲子園 九州・沖縄ブロック」の舞台で翔太さんはこう語った。
「これから、最高の自然を楽しむライフスタイルをつくります。僕たちの挑戦は、まだ始まったばかりです」
Nature steel.には、身近な自然を楽しむための「特等席」を提供したいという想いが込められている。
「人と自然が関わるきっかけをつくり、暮らしを豊かにする」
家業の技術を活用して4代目が提供しようとしている価値は、限りなく大きい。

モトムット事務局(マーケティングミックス社)で制作を手がけたNature steel.のブランドサイトがこちら。
※翔太さん肝入りのブランドだけあって、細部へのこだわりが凄かった・・・
株式会社ヤスナガの求人情報はこちら!
・溶接工
モトムットは筑後地区で新しいチャレンジを続ける企業を応援しています。









