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アトツギの挑戦#5「実家の花屋を全国区に!100万回再生は通過点」

アトツギの挑戦#5「実家の花屋を全国区に!100万回再生は通過点」

新規事業や組織改革に取り組む筑後地区のアトツギにフォーカスする「ネクストリーダーズ」
第5回は、筑後市にある”まちの花屋さん”からです。若きアトツギが実践する、SNSを活用した顧客とのコミュニケーション手法を紹介します。

 

「実家の花屋を有名にしたいど素人」

昨年1月、インスタグラムに投稿された花屋のショート動画。
ドライフラワーアーティストの田中鉄朗さんが店の看板を塗り直す25秒の映像は、103万回以上再生された。

 

そのほかにも、家業に戻るまでの経緯を紹介した動画を中心に、軒並み多くの再生回数を記録している。こうした動画がきっかけで、フォロワーは1か月で5000人以上増えた。

 

田中さん
「次の30年で全国から注文の入る花屋にしていきたい」

 

2022年12月に家業へ戻った田中さんは次期経営者(3代目)。地域で親しまれてきた店をさらに飛躍させようと、SNSをフル活用している。

「お店が自分の居場所だった」

従業員6人の「バラ家」は、筑後市新溝の田舎町にある創業29年目の店だ。
田中さんが生まれた翌年に祖父母がバラ家をオープンさせた。

 

田中さん
「学校に行けていない時期もあったのですが、そんな時でもお店に居させてもらえた。ここがあったから人との繋がりが持てました」

 

「生まれた時から慣れ親しんだバラ家で、いずれは働く」
そう決めていた田中さんだが、家族の勧めもあって、大学卒業後はまずWeb系の求人広告会社で営業職として4年間勤務した。

 

田中さん
「多くの人にお店を知ってもらいたいという気持ちがあり、広告に関する仕事を選びました。まずは何かの仕事で結果を出してから自分の夢に挑戦していきたいなと」

 

実際に結果も出した。営業として2年目に通期MVPを獲得するなど、その後の自信につながる実績を上げることができた。

 

次に田中さんは、福岡県内のドライフラワー専門店に転職し店長を務めた。
その過程で、生花よりも長持ちするドライフラワーの可能性を感じた。筑後で作った商品を全国で買ってもらえるチャンスと捉えたのだ。
(個人のインスタグラムで積極的に発信を始めたのもこの頃から)

 

広告・ドライフラワーのノウハウを身につけ家業へ

2つの職場での勤務を終え、田中さんはバラ家に戻って来た。
すぐに後を継ぐのではなく、自分で立ち上げたドライフラワー専門店「BARAYA」をバラ家の店内にオープンさせる形をとった。家業の生花販売に参画しながら自分のブランドも育てることにしたのだ。

 

先述のショート動画公開から間もなく、田中さんはBARAYAを拠点にドライフラワーの全国発送サービスを開始。
若い人にも利用してもらえるよう、結婚式のブーケや成人式の髪飾りを手がけることにした。製作実績はお客さんの許可をもらったうえで積極的に発信した。

花には想いが乗っている

SNSで多くの人に注目してもらえるよう、どんな工夫をしているのか聞いてみた。

 

①人と人の間に立つ花屋だからこそ分かるストーリーを添えて発信する

田中さん
「母の日に、東京で暮らす息子さんからの花束を届けに行った際、花を見た瞬間にお母さんが泣き出されて・・・この時に、花屋の仕事っていいなと思いました。花屋だから分かるお客様のエピソードを伝えていきたいと思っています」

 

②お客さんからお店のアカウントに寄せられた御礼のDMを紹介する
お客さんの許可を得たうえで、DMで届いたコメントもストーリーで紹介している。
田中さん
「自分で『こんな声をいただきました』と発信しても信憑性がないと思うので・・・コメントが紹介されて嬉しいと思ってくださるお客様も多く、お客様自身のアカウントでシェアしていただくことにもつながります」

 

LINEで顧客とのコミュニケーションを強化

もう一つ、田中さんはLINEを使って注文を受ける仕組みを作った。
LINEの公式アカウントを拡張した L Message(エルメ)で自らシステムを組み、電話や来店をしなくても簡単に購入ができるようになった。

 

田中さん
「簡単に相談したいライト層を取り込むために、LINEで無料の個別相談ができるようにしました。初回のヒアリングを自動化して負担を軽減しています」

 

✨ SNSを通じて遠方のファンができる

📱 遠方&一見さんでもLINEだと注文しやすい

💐 ドライフラワーは遠方への発送にも向いている

 

また、顧客情報をLINEで管理できるようになると、誕生日や成人式等のイベントに合わせてクーポンを発行するなど、より細やかなサービスも可能になるという。
実際、田中さんが家業に戻ってから売上は以前の約1,5倍に伸びてきた。

 

効率化の先にあるもの

田中さん
「実際やってみると、動画の制作にはすごく時間がかかるんです(笑)」

 

様々な投稿を続けてきた田中さんでも、顧客のエピソードや自分の想いを形にするまでには結構な時間を要する。
共感してもらえるような発信やリアルでのコミュニケーションに時間を割きたいからこそ、効率化できる部分にデジタルツールを取り入れているのだ。

 

田中さん
本質的に人ならでは部分を最大限伝えていくために、テクノロジーを駆使してDX化して、業務効率化していきたいです」

 

創業30年を迎える頃には、田中さんはAIを使いこなす花屋になっているかもしれない。

 

「さらに30年続く花屋にしたい。実家を全国区にしたい」
取材中、力強い目標を何度も口にする姿が印象的だった。

バラ家

2024.07/02配信